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2013年03月28日

遺言(?)

「ジィ!」

昏睡状態のジィの手をぎゅっと握り、

いつものように頬にキスをした。

ジィは目を開け彼女の眼をじっと見つめた。

「ジィ、約束をひとつ果たしたよ。もういつでも(逝って)大丈夫。」

彼女が言うと、

「アー・・・。」

ジィは一言声を発すると再び昏睡に陥った。

信じられない、奇跡だ。

そばにいた医師は驚きの声を上げた。


彼女がジィに二つの頼み事を託されたのは5日ほど前だった。

もう手の施しようがないジィが病院を退院してくると聞いて、

居ても立っても居られなく家の前で待ち伏せ。

3週間ぶりに会った。

「コーヒーでも飲んでいきなよ。」

うれしくて、

ちょっとだけお邪魔して、

ちょっとだけおしゃべりして。

そして、

おばあさん(奥様)が席を外した時にそっと耳打ちされた。

「頼みが二つある。

私が死んでもばあさん(妻)との関係は保って欲しいのがひとつ。

もうひとつ、私がいよいよの時になったら墓の掃除をしてくれ。」

約束した。

それから5日後。

昏睡状態。

年寄りの衰弱はこんなにも早いのか。

今が約束の時だ、とお墓の掃除に出かけた。

苔だらけだったお墓を遠慮なくデッキブラシでガシガシ磨く。

お墓をキレイにした報告に行った時、

その奇跡は起きた。

「最後にジィの声を聞けて本当によかった。」

彼女はジィの旅立ちに対して今まで以上に腹をくくれた。

異国の地に嫁いだ彼女の一番の仲良し、ジィ。

「ジィ・・・。ジィの最後はしっかり見届けるよ。」

ジィは、今でも静かにその時を待っている。


海外で暮らしている日本人の主婦のブログです。

(原文を基に僕がまとめました。)


実は僕も、80歳を越えたお客様から、

「俺が死んだら・・・。」

と託されている事があります。

「俺の葬式の時に、鼻毛を切ってくれないか。」

え?あ、ハイ。

「参列してくれた人に、

棺の中のみっともない顔は見せられないしさ、

あの世で先祖にも会えねぇだろ?」

わかりました。


まだまだお元気で100歳まで生きるんじゃないかという

すごく達者なお客様。

毎回のジョークもさりげなくスマートで嫌味がありません。

葬式での鼻毛の処理が本気かどうかは疑問ですが、

その時にはポケットにハサミを準備していくつもりです。




最期に何かを託す。

その思いが湧くのは僕にはまだ先の事かな。  
タグ :理容


Posted by すがぬま理髪店 at 17:10Comments(0)すがぬま理髪店