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2011年11月05日

酒 その002

芋焼酎の「一刻者(いっこもん)」です。



芋焼酎って美味しいんだなぁ。」

そう初めて思ったお酒です。


このお酒も前回の島美人同様、

お客様に奨められたお酒なんです。




僕は以前、イギリスの小さな車に乗っていました。

ある休みの日に車庫で車をイジッていると、

ワンちゃんを連れた上品な初老の男性に声をかけられました。

(この方が一刻者を紹介してくださったまさにその人です。)

「いやぁ、僕もイギリスの小さな車が好きでね。

あなたのとは違うけど僕も一台イギリス車を持っているんだよ。」

同じ趣味を持つ者同士話が弾み、何回かのお散歩中の会話を経て、

やがて当店のお客様としてご来店いただくようになりました。

ご自宅を教えていただいたので、

家の前に大事に大事にカバーをかけられ、

ちょこんと小さな車が停まっているのも確認しました。

(元気に街中を走っている姿も何度となく見ました。)

飲食関係のお仕事というこのお客様、お酒にも詳しく、

僕が最近芋焼酎を飲み始めたというと、

コンビニやスーパーなどで簡単に手に入れられて、

しかも美味しい、というこの一刻者を紹介してくれました。

「安いお酒じゃないけどね・・・結構イケるよ。」

早速購入、う~ん・・・今までにない美味しさ・・・四合瓶はすぐに空・・・^^

次のご来店の時お礼を言うと、うれしそうなお顔をされたのを覚えています。


しかしその後、永らくご来店いただけない時期がありました。

「どうしたんだろ?」と色んな意味で心配していると、ご予約の電話。

「いや~ごめんねぇ。ちょっと病気しちゃってさー。」

もともと細いお体をさらに細くされての久々のご来店。

「なんですかもー、こんなに痩せちゃってー。」

わざとらしくオチャラケるのが精一杯。

医者でないこの僕でも痩せ方が尋常でないのはわかりました。


それから入退院を繰り返されて(たと思う)、ある日。

もう、あの車(ご自分のイギリス車)も乗れないなぁ。」

カット中のこのお言葉。今でも耳に残っています。

運転する体力も無くなっていたんです。




その方のご近所にお住まいのお客様から訃報を聞いたのは、

それからしばらくしての事でした。

新聞の訃報欄にも載せず葬儀は身内のみで執(と)り行われたそうです。




そのお客様が、車庫で僕に声をかけてくれなければ、

僕はこのお酒の存在を、美味しさを知るのは

もっともっと後だったかも・・・と思います。


主人を亡くしたあの小さなイギリス車も

しばらくは家の前に停まっていましたが、いつの間にか無くなっていました。

残されたご家族は引っ越されたそうです。

ワンちゃん、どうしてるかな。

芋焼酎「一刻者(いっこもん)」、今でもたまに飲みたくなるお酒です。  


Posted by すがぬま理髪店 at 21:01Comments(4)バイクと育児と少年時代